SamuraiGG present「ポルカファンタジー x 元素騎士オンライン」CEO対談 前編
GameFiを取り巻く現在、そして未来とは?2022年12月10日に開催された「SamuraiGG大感謝 超BOUNENKAI3.0」の特別企画、ポルカファンタジー×元素騎士オンラインCEO対談のイベントレポートを、前後編に分けてお届けします。
2022年は「試される一年」だった
田中世識(以下、田中):モデレーターを務めさせていただく田中世識です。よろしくお願いします。早速なのですが、2022年のGameFiを取り巻く環境、状況はどのようなものだったのでしょうか?
マキシイ・クアン(以下、マキシイ):2022年はWeb3マーケット全体が波瀾万丈の状況でした。GameFiも2021年からずっとあるトレンドとして、どこまで経済が回るのかというトークノミクスの件も含め、応用シーンが試される一年でしたね。テラ社やFTXの件もありましたが、そんな中でGameFiがどう生き残るかを課題として、我々も含め色々なプロジェクトが試される一年だったなと思います。
田中:色々と状況が変わる中で、GameFiが試される一年だったということですね。アレックスさんはどうでしょうか?
アレックス・フィ(以下、アレックス):そうですね。2022年はマキシイさんもおっしゃる通り、色々なブロックチェーンゲームが試された一年だったと思います。実際に様々なブロックチェーンゲームが動いていましたよね。それぞれが色々な形の経済モデルを試みていて、政府を設ける場合もあったり。私は、どの試みがなぜ成功したか、なぜ失敗したかという要因を見極めて、それを今後に活かすことが重要だと思っています。新しいものは、やはり最初の数年間は試されることが多いんですよね。インターネットもそうだったんですが、色々なモデルが試されて、どんどん進化して行く。進化したモデルの何がいいかを見極めて、次のステージはどういう風に向かっていくか予想して実行に移すのが非常に大事だなと思うんです。そのようなスピード感が早いことが仮想通貨界隈の非常にいいところ。失敗も早いし、成功も早いんです。ですので、重なっていく失敗と成功の本質をうまく見極めて、プロジェクトに色々な要素として取り込んでいければいいかなと。そういった意味で、2022年は非常に勉強になった一年だとも思いますね。
今後のキーワードは「経済圏」
田中:今後のGameFiの状況についてはどう予見されていますか?
アレックス:私はGameFiは必ず、皆さんの生活の一部になると確信しています。ブロックチェーンの発展が止まることはないからです。しかも、ブロックチェーンとゲームは非常に相性が良い。10年後、20年後に、どんなGameFiの世界になっているかは分かりませんが、現段階の課題として挙げられるのは「トークン経済」です。GameFiはまだ、経済圏の確立において完璧なモデルにたどり着けてはいませんが、徐々に進化していくと思います。その最初のステップは、GameFiの経済で使える理論や方法を確立すること。リアルワールドの経済と仮想通貨世界の経済は、スケールが全く違うことを始めとして、異なる点が多いんですよね。なのでリアルワールドの経済で使われている理論は、仮想通貨世界には応用できない部分があるんです。だから、GameFiの経済圏に適した理論ができて、それを上手く使えればいいですよね。それがこれからの課題だと思います。
マキシイ:そうですね。私も似た意見を持っていて、『元素騎士オンライン(以下、元素騎士)』が11月末に正式リリースしてリアルなサービスとして周り始めているので、今までのGameFiの問題だった、「ポンジスキーム」をいかに回避するかを、大きな課題のひとつとして捉えています。『元素騎士』の場合はガバナンストークンである「MV」と、インゲームトークンである「ROND」の二つがそれぞれ違う役割を持っています。「Play to Earn」と言われる仕組みの、「プレイで獲得できるお金はどこから来たのか」という疑問を解決するためには、しっかりと経済圏を作らないといけない。それがないとやはり「ポンジスキーム」に陥ってしまいますよね。そのためにも『元素騎士』は、すでに発表した通り、メタバースとしてLANDの販売や、UGC(User Generated Contents)を活かしてクリエーター、ユーザーが自分でオリジナルのコンテンツ、ハウジング機能であったりオリジナルNFTであったりを作って、売買したりゲームの中で使ったりという形を今後も進めていきます。
田中:今後のGameFiでは、信頼できる経済圏を作っていくことが課題になるということですね。そして『元素騎士』はすでにその方向に動き出していると。
マキシイ:そうです。また、ブロックチェーンゲームはWeb2ゲームと違って、ゲームをプレイして得たアセットがNFTとして残ります。それとは別にトークンはトークンで、流動性がある限りは価値のあるものとして残るので、利益として収入に当てることもできます。このNFTとトークンの2つに加えて、もう一つの大事な要素が、ゲームのコンテンツだと思います。2021年にはスキャム(詐欺)系のGameFiもたくさんあったのですが、ちゃんとしたゲームじゃないと離脱率も高いし、リピーターも生まれません。『元素騎士』の場合はちゃんとゲームコンテンツを作った上で、ファイナンスの部分をしっかりと作って、その上でメタバースを設計し経済圏として確立していく。メタバースという点では、例えばFacebookのMeta社が狙おうとしていることと、我々も同じビジョンを持っているんです。ただ作り方が違うだけなんですよね。向こうはVRから始まって、我々は2D・3Dゲームから始めているんです。いつになるか具体的にはわかりませんが、『元素騎士』もVR、ARと連携してメタバースの世界を作ろうとしていて、それが2023年からどんどん加速していくと思います。
GameFiが健全で長期的な循環を作っていくために
田中:さきほどMeta社の話も出ましたが、今後、例えばGAFAを超えるぐらいのGameFiエコノミーが確立されることはあるのでしょうか?
アレックス:別に超える必要はないと思いますね。別々の経済圏を持っていけばいい。規模を比べるとしたら、正直に言うと絶対超えられないんじゃないですかね。それよりも、どれくらいユニーク性のある経済圏を作れるかという点が大事です。GameFiの課題は、どうやって健全な循環を作るのかということだと思います。例えば銀行だと預金があって、それを銀行が貸出して、そこで循環を作っている。GameFi業界でも、そのような健全で長期的な循環を作り上げるのが大事だと思うんです。そのためには、全人類を対象として、より一般的な客層も取り込まないといけない。『ポルカファンタジー』も、ブロックチェーンに興味をもっているファンだけでなく、一般人を取り込むようなエコシステムを作るのを目標にしています。人々を広く取り込んでスケールアップして、循環をうまく回していけたら、GAFAまでのスケールじゃなくても、どんどん大きくなっていくと思いますから。
マキシイ:同じ意見ですね。Web3ができたからWeb2企業が消えるわけでもない。例えばゲームユーザーだけを見ても、ブロックチェーンゲームに移行する人とそうでない人が出てくると思います。とはいっても、今はまだWeb3はアーリーステージだと思うので、これから2年、3年、5年かけて市場がどんどん成熟してくるものだと認識しています。
アレックス:一つ補足なんですが、おそらくWeb3とWeb2を分けて見てる人が多いんじゃないでしょうか。YouTubeがわかりやすい例ですが、そもそも初期のYouTubeって別に「稼げる」というコンセプトはなかったんですよ。でも今「ユーチューバーになります」という人はおそらく稼ぐことを目的にしているんですよね。だからといって、今のYouTubeは稼げるからWeb3に変わったという訳でもなく、Web2のままで分けて見る必要はありません。Web2のマインドセットでWeb3をやっても良いし、Web3の中でWeb2の楽しさを作ることもできる。それぞれの良い部分を取り込んでいけばいいと思います。これからそういうパラダイムシフトが必要になってきますね。
田中:なるほど。価値観を転換していかなければいけないんですね。それでは、長期的にGameFiのエコノミーを回すにあたって重要なポイントにはどんなものがあるんでしょうか?
マキシイ:やはり本質であるゲームのコンテンツが大事です。ユーザーさんがいないと成り立ちませんからね。『元素騎士』はゲームから始まったメタバースという風に発展していきますが、もちろんコンテンツであるゲーム自体も開発を続けていきます。それだけでなく、ユーザーさんが自分のLANDで自分のゲームを作ることもできる。いわゆるプラットフォーム化して行くことで、リピーターとリテンション率、ARPU(Average Revenue Per User)などもどんどん上がっていくと考えています。あともう一つのポイントが、DAO化、Dapps化していくこと、非中央集権的に回していくことです。みんなでエコシステムを支えていく形になると思います。それが実現できるかどうかが、すごく大事になってくるのではないでしょうか。
「試される」一年を経て、信頼できる経済圏の確立という課題に向き合っていく。現在進行形でブロックチェーンゲームの未来を形作っているお二人の言葉から、GameFiの現在位置が見えてきました。後編では、『ポルカファンタジー』と『元素騎士オンライン』の今後や、私たちGameFiプレイヤーに訪れる変化についてお話を聞いていきます。夢のコラボ「ポルカ騎士」についても意見が交わされる…!? 気になる方は後編もぜひチェックしてくださいね。