GameFiを活かして障がい者がより生きやすい世の中に

福祉現場でのGameFiの可能性に迫る連載企画。前編後編と2回に分けてお届けしていきます。前編に話を聞いたのは、障がい福祉施設向けシステムの開発や障がい福祉施設向け仕事受発注システムの提供をしているトランスバンク株式会社の小柴義明さん。小柴さんに障がい者支援の分野でGameFiがどのような影響を与えると期待しているのか話を聞きました。

ハンディキャップを感じさせない能力に魅せられたのがきっかけ

小柴さんが現在の仕事を始めたきっかけは意外にも農業だったそう。

小柴「30歳から静岡県で有機農業を始めました。そこで、障がい者の方々の雇用を受け入れているのですが、一緒に働いてみて彼らがハンディキャップを感じさせないくらい能力が高いと知りました。みんなそれぞれ特出した力があってすごいんですよ。その事実を知ってから、彼らがもっと活躍できる場が増えたらいいなと思い、今の事業を始めました。
もともとプログラム開発や運営管理の会社を経営していた経験がありITには知見があったので、障がい者施設と当事者がITを使って仕事しやすくなるような事業を思いつきました。」

畑作業をしている小柴さん

障がい者が抱える仕事の選択のなさ

事業を始め、実際に福祉施設へ足を運び現場を知ると、ハンディキャップのある人たちが働く際にぶつかる障壁を目の当たりにしたと小柴さんは話します。

小柴「障がい者福祉施設の現状を知ってまず愕然としたのは、本当に仕事がないこと。たとえ案件が来たとしても、軽度の方々が請け負ってしまい、重度な方に仕事が行き届かないんです。今回、GameFiの体験をしてくれた宮内康裕さんは、脳性小児麻痺という全身性障がいがある方なのですが、頭脳は超健康。パソコンの知識もあるし、タイピングもとても早くできるので、健常者とはなんら代わりはありません。そういう方に仕事が行き届くようになる構造を目指しています。今回、Samurai Guild GamesからGameFi体験の話を聞いて、あまり激しい動きがないゲームならば障がいを持った方でも一般の人と遜色なくできるし、新しい収入に繋がるのではないかなと福祉事業所へ声を掛けました。」

福祉業界全体のITに対するリテラシーの低さ

GameFiへ期待を抱きながらも、いざ実装となると様々な課題が。それは福祉業界全体がITへ対応しきれていないことが原因と小柴さんは指摘します。

小柴「GameFiの話を持ちかけた時も、福祉施設の職員たちがゲームに対して慎重になっていると分かりました。中毒性が生じないシステムになっていると説明しても、『ハマってしまったらどうしよう』という抵抗感や、職員がゲームやパソコンの知識がないのでサポートできずに離脱してしまう。施設側はまず不安点から上がってくるのでそれを軽くするのが課題点ですね。コロナも流行っていて在宅で仕事することでますます不健康になっています。なので、Move to Earnで歩きながらゲームを進めて暗号資産(仮想通貨)を稼ぐというのを体験して、ゲームが収入になるということに対して理解をしてもらうのが分かりやすいかなと考えています。ゲームの世界と福祉をどう繋げていくかを日々真剣に考えています。」

福祉施設での交流※プライバシー保護の為、顔にボカシを入れています

“稼ぐ”プレイヤーの育成が鍵

GameFiの登場で福祉業界が新たな収入源を得る流れを構築すると共に、ゲームをプレイするだけではなく、次のステップも構想している小柴さん。今後の展開について聞きました。

小柴「Samurai Guild GamesではLearn and Earnの取り組みでエンジニアを育成し、自分たちのトークンを配布すると聞いています。障がい者の中には優秀なエンジニアも存在しますので、その方々や会社と提携して、Samurai Guild GamesのGameFi案件を行いたいと考えています。次の段階としては、エンジニアの育成スキームをベースにしながら、うまく稼ぐプレイヤーをどれだけ育てるかが鍵だと思っています。
e-sporsで有名な障がい者事業所がちょこちょこ出てきているんですが、まだ収入には繋がっていません。GameFiは有名なゲームプレイヤーになる必要がなく、誰でも収入に繋がるところが魅力に感じています。」

ワクワクする世界に繋がる一歩を踏み出すサポート

最後に、小柴さんが目標とするGameFiを活かした障がい者福祉での支援について聞きました。

小柴「現在、日本で障がい者手帳を持っている人は900万人と言われています。その中で身体障がい者は400万人。昨今では精神障がい者の方が毎年10万人ずつ増えていて、500万人を超えそうな勢いと聞きます。この数から想定するに、新しい就業支援方法を取り入れなければ間に合わなくなってきているのが理解できます。
プレイヤー育成の事例ができたら福祉施設や個人に提案して、私たちの活動に共感してくれる方々を増やし、話題性を持たせる多くプレイヤーの排出を狙っています。ワクワクできる世界をつくることを目指して頑張っていきたいです!」

後編はコチラから>>「ITを駆使してハンディキャップのない社会へ」

小柴義明さん

トラストバンク株式会社 https://www.trust-bk.co.jp/

取材:Ganverse Media
編集・ライティング:Samurai Guild Games、Ganverse Media

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Game Guide